遺言書を作成した方がよいケース

遺言書を作らないというのは本当に良いことなのでしょうか。
欧米などの海外では結婚した方、子供がいる方が遺言書を作るのは当然のことと考えられています。
日本でも、遺言書を残す方は年々増えていっています。
当事務所は、3つの観点を元に、以下のような方に特に遺言書を作成することをおすすめしております。
1、相続時の紛争防止
2、ご自身の意思
3、相続人の負担の軽減


①夫婦にお子さんがいらっしゃらない方 

遺言がないときは、法定相続に従いますから、配偶者とともに故人の親や兄弟が相続人になります。その結果、配偶者が故人の財産を処分するにも、他の相続人の承諾が必要となったり、相続分を請求され、その支払いのために住む家を失うこともあります。

このような事態が起こりそうな場合は、配偶者に「全財産を相続させる」という遺言を残しておくとよいでしょう。
ただし、亡くなった配偶者の親が相続人の場合には遺留分があります。

②事実婚(入籍をしていないが事実上婚姻関係にある状態)、内縁の夫婦の方

結婚しても入籍していない内縁の夫婦の場合、民法上、亡くなった相手方の遺産を相続することはできません。
この場合、遺言によって相手方に財産を遺贈するか、相手方と死因贈与契約を検討することになります。
ただし、内縁の夫婦間にお子さんがいらっしゃらない場合は、故人の親は遺留分があることに注意してください。

③相続人以外の人に財産を分与したい方

法定相続人以外に財産を残したい場合は、遺言によって財産を遺贈するか、死因贈与契約を締結しおきましょう。
たとえば、尽くしてくれた嫁に財産を分与したい場合や、子がいる場合に世話になった兄弟姉妹に恩返ししたいときなどです。
ただし、これら場合、相続人の遺留分を侵害すると、後で争いになることもありますので、遺留分に配慮した方がよいでしょう。

④お子さんがたくさんいらっしゃる方

法定相続分のとおり平等に相続すれば問題はないとも思えます。
しかし、たとえば、親と同居して親の世話をした子は、他の子より多い相続分を主張して、争いになるケースもあります。

複数のお子さんがいる場合、これまでの家族関係にも配慮して遺言を残しておくと、争いを避けることができるでしょう。
また、法定相続分どおりに相続させたい場合でも、その旨を遺言書に記載しておくと、故人の意思がわかるので、もめることは少なくなるでしょう。

⑤特定の方に家業を承継させたい方

家業を継ぐお子さんに事業用の財産を相続させたいときは、遺言がないとスムーズな相続手続ができず、事業の継続が難しくなるおそれもあります。
遺言で各相続人が取得する財産を指定しておきましょう。

⑥再婚経験があり、先妻(夫)との間にもお子さんがいらっしゃる方(離婚経験がある方)

遺言書がない場合、遺産を分けるには遺産分割協議を経なければなりません。そして、離婚をしても前婚の子は相続人です。したがって、遺言書がない場合、顔も合わせたこともない前妻(夫)の子と遺産分割協議をすることになります。

遺言書があれば、遺産分割協議をすることなく、遺産を分けることができるので、先妻・後妻との間のお子さん間でトラブルの発生を減らせることができます。
なお、再婚相手の連れ子は相続人ではないので、財産を分与したいときは遺言を残すか、生前に養子縁組をしておく必要があります。

⑦財産を与えたくない相続人にがいらっしゃる方

親に対して著しい非行があるなどの廃除事由がある推定相続人の相続権を、遺言によって失わせることができます。この廃除が認められると、遺留分も失います。

⑧心配な相続人がいらっしゃる方

認知症の配偶者や未成年、障がいをもつお子さんがいらっしゃる場合、面倒を見てもらうことを条件に遺贈をする負担付遺贈という方法もあります。
この場合、あらかじめ、条件について十分に話し合い、受遺者の理解・同意を得た上で遺言することが大切です。

⑨不動産が多い方

不動産のように分割しにく財産の場合、遺言により遺産分割の方式を指定しておきましょう。
同居していた親族が住むところに困らないようにすることも必要です。
遺産が現金や預貯金であれば分割も簡単に出来るのですが、不動産が多い場合、分割は難しくなります。
 その理由としては、同じ土地を分割して相続させると、後々売却などを考えたときに権利上の問題で思うように処分できなくなるということが挙げられます。

⑩相続財産が多い方

相続財産が多い場合、誰がどれを相続するかで争いが生じます。
 予め相続人のことを考慮した内容の遺言書を作成しておけば、スムーズな遺産分割が可能になります。

⑪相続人間の仲が悪い方

遺言書がない場合、遺産を分けるには遺産分割協議を経なければなりません。
しかし、遺産分割協議は、日頃から交流のなかったり、仲がよくない親族には負担のかかる手続きです。
遺言書を残し、手続がスムーズにすすむようにして、争いごとが発生しないように配慮しておきましょう。

⑫大切なペットがいらっしゃる方

相続人がペットを飼うことができないこともあります。
この場合、ペット好きの友人に世話をしてもらうことを条件に、飼育料を含めて遺贈することが適切と考えます。生前に相手方と話し合って承諾を得て遺言に残しましょう。
また、趣味のコレクションも相続人とっては不要なこともありますから、同じ趣味を持つ方に遺贈した方がそのコレクションを大切にしてもらえることでしょう。

⑬遺産を児童養護施設、奨学金、学校などに寄付したい方

遺言がないと、債権者への清算の後、残った財産は国庫に帰属することになります。
特定の団体に寄付したいときは、財産を寄付する遺言をしましょう。できれば、あらかじめに相手方団体と話し合っておくことが望ましいです。