遺言と葬儀、献体、永代供養について

葬式、法要の方法を遺言で決めておくことができます。

ただし遺言書は、記載した事項全てについて法的な効力が認められるのではなく、民法等の法律が定めた一定の事項に限って法的な効力を生じます。
法律上規定がある遺言事項の具体例はこちらをご参照ください。
葬儀、埋葬、供養の方法の指定等については遺言事項とされておりません。  
したがって、葬儀や埋葬の方法等について遺言者の希望を遺言書に記載しても法的効力は生じず、必ずしもその内容が遵守されるとは限りません。  

しかし、遺言書に記載すること自体が禁止されているものではありませんし、遺言書の内容に盛り込んでおけば、遺言書を読んだ相続人が本人の意思を尊重されることになるかと思います。

したがって、遺言書には葬儀、献体、永代供養について希望があれば積極的に記載されることをおすすめします。

ただし、遺言書は、死亡直後に開示されるとは限らないので、葬儀の方法や献体などの希望を記載しておいても、希望がかなえられないことがあります。
ですので、生前からこのような希望を有していることを家族・親族に伝えておくことが大事です。

葬儀を依頼する遺言について(判例タイムズ1380号)

受遺者に葬儀を行わせる趣旨の遺言は、負担付遺贈と解され、葬儀の履行は受遺者が行うべきことであり、当該受遺者が遺言執行者に指定されているとしても、遺言の執行ではない。  
受遺者ではない遺言執行者に委託するものであるときは、この委託に遺言の効力を認めることはできない。
ただし、遺言者と遺言執行者の候補者とが生前に葬儀に関する委任契約をしたものと認められれば、契約として有効となるが、遺言の執行ではない。 
遺言とともに、葬儀や永代供養の依頼を遺言執行者に指定された者などに委任する契約を締結することが行われるようになってきた。これは、死後事務委任契約ともいわれており、死後も有効で、かつ通常は相続人も解約できない趣旨のものと解されている。

遺言書記載例


「葬儀は、できる限り質素なものでお願いします。」
「参列者からの香典等を辞退してください。」

「葬儀は、告別式を行わず、身内と親類縁者だけの密葬とし、位牌は作らないようにお願いします。」
「納骨は、○○市××の寺にお願いします。」
「遺言者の死後、自分の体を医学の発展に役立てて頂くため、○○大学医学部付属××病院に献体登録をしておりますので、同病院より献体に関する同意を求められたときは、親族は皆、快く応じて頂きますようお願いします。」