遺言書の検認(けんにん)について

検認とは、相続人に対し遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
検認は、遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。

検認は遺言書を相続人の最後の住所地を管轄している家庭裁判所に提出して行います。
後述しますが、公正証書遺言については、検認を受ける必要はありません。

◆遺言の種類によって、検認の要否が決まります

自筆証書遺言及び秘密証書遺言の場合

封印ある自筆証書遺言、秘密証書遺言を見つけたときは、家庭裁判所で相続人またはその代理人の立会いのもとに開封して、検認を受けなければなりません。
この封印とは、封に押印がされているもののことで、遺言書が単に封筒に入って糊付けしてあるものは封印にあたりません。
遺言書の開封は、検認の手続きの過程で行なわれますから、開封の申立てをする必要はありません。

封印のない自筆証書遺言の場合も、家庭裁判所において検認の手続きが必要となります。

検認を受けないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で封印のある遺言書を開封した者は、5万円以下の過料に処せられます(民法第1005条)。
また、故意に遺言書を偽造したり隠匿した場合には、相続欠格者として相続権を失うことになります(民法第891条第5号)。

遺言書を見つけられたときには、当事務所にお気軽にご相談ください。(相談料は無料です。電話相談のみも承っております。)

公正証書遺言の場合

公正証書遺言は家庭裁判所における開封や検認の手続きは不要です。
この点は、相続人に負担をかけないので、公正証書遺言の大きなメリットです。

◆家庭裁判所での検認手続きの流れ

管轄の家庭裁判所へ検認の申し立て

遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人が、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所に検認の申し立てをします。

家庭裁判所より検認期日の通知

家庭裁判所から相続人全員に対して検認の期日(裁判所で遺言書を開封、内容を確認する日のこと)の通知がされます。

検認の実施

検認期日に相続人の立会いのもとに、家庭裁判所にて検認が行われます。
家庭裁判所は、遺言の方式および遺言書の事実状態を調査し、その結果を検認調書に記載し、検認手続終了後に、申立人に検認済証明書を付した遺言書を返還します。
検認に立ち会わなかった申立人、相続人、受遺者等には、遺言を検認した旨が通知されます。

◆検認の効果
検認は、相続人に対し遺言の存在およびその内容を知らせるとともに、遺言書の外形的状態確認して遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
したがって、検認は、遺言の有効・無効を判断する手続ではありませんから、検認を受けなくても遺言が無効になることはありません。

検認を受けなくても遺言が無効にならないとすれば、検認を受ける必要はないとも思えます。
しかし、検認を受けなければできない相続手続があることに注意をしてください。
たとえば、不動産登記や預貯金の名義変更をする場合には公正証書遺言以外の遺言書では検認が必要とされています。



当事務所にご依頼いただいた場合は、検認手続きの申し立てはもちろんのこと、相続人の調査も行いますので、ご自身で行われるよりもご負担を少なくすることができます。
なお、家庭裁判所での検認申立書の作成の代理は行政書士には認められておりませんので、弁護士・司法書士にご相談ください。