遺言がないケース-遺産分割協議について

遺産分割協議とは、だれが、何を、どれだけ承継するかを決めるための話し合いです。
遺産分割協議が成立したときは、合意した証として遺産分割協議書を作成して保存します。

遺産分割協議には、相続権のある者全員が参加する必要があります。
特定の相続人を除外して、協議をすすめて合意に達しても、原則として無効となりますから、注意しましょう。

遺産分割協議は公平に行います。
遺産分割を行うときは、遺産に属する物・権利の種類や性質、各相続人の年齢・職業・心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮しなければなりません(民法906条)。
そこで、各共同相続人間で、適切・妥当な分配が行われるように、遺産分割協議は実質的・具体的公平に行います。

特に、相続人に老齢者や幼少者、認知症など心身障碍者がいる場合には、相続人の状況などをきめ細かく配慮して、協議を行いましょう。
また、特別受益や寄与分も考慮して、相続人間の公平を図ります。

遺産分割協議書の作成


遺産分割協議の結果や内容は、書面にしなくても有効ですが、その後の不動産登記手続きなどに遺産分割協議書を添付しますので、協議後直ちに作成しておくべきです。
また、遺産分割協議書を作成しておくと、遺産分割が共同相続人の合意によって成立したという証拠になり、後日の紛争を予防することになります。

相続人全員が集まって、作成しないといけないのか

遺産分割協議書は、必ずしも相続人全員が一堂に集まって作成する必要はなく、持ち回りで署名・押印等をして作成することもできます。


遺産分割協議書の様式

遺産分割協議書の様式は、特に法律で定められていません。
しかし、その内容を正確かつ明確にしておかなければ、せっかく合意に達した遺産分割協議を無駄にすることにもなりかねません。
だれが、どの財産を承継するかを具体的に特定して、それを明確に記載したうえで、参加者全員が署名・押印(できれば、個人実印で)することが必要です。

当事務所の遺産分割協議書作成代行について

協議の内容について

協議の内容に制限はありませんから、各相続人はその意思によって自由に遺産分割について定めることができます。
法定相続分と一致しない遺産分割協議も各相続人の自由意思に基づく限り、有効ですし、遺言による指定相続と一致しない遺産分割協議も有効になります。

負債を分割する場合の注意点

可分債務は、相続により各相続人の相続分に従って承継されるので、法律上、遺産分割の対象とはなりません。

特定の不動産を相続する相続人に、その不動産のローンすべてを負担させる遺産分割をする場合は注意を要します。
相続人間でこのような遺産分割協議をしても、債権者に対抗することはできないからです。
この場合、遺産分割協議と並行して、債権者とローンの借り換えや免責的債務引受け等の手続きをとる必要があります。

可分協議が調わない場合

共同相続人間で遺産分割協議が調わない場合、各共同相続人は単独または共同で家庭裁判所に遺産の分割の申立てをして審判または調停を求めることができます。